建築の基礎知識
施工知識
建築の基礎知識 >施工知識 > 各種工事 > プレキャストコンクリート工事

プレキャストコンクリート工事

プレキャストコンクリートとは、あらかじめ工場で生産されたコンクリートの部材で、板状になったものが一般的です。
これを現場に運んで組み立てることにより、現場打ちと比べ、時間とコストを削減できます。

目次

プレキャストコンクリート工法

高さ60メートルを超える超高層鉄筋コンクリート造にも採用されています。
以下の工法がこれに含まれます。
・壁式プレキャスト鉄筋コンクリート工法
・HPC工法(鉄骨を用いた高層プレキャストコンクリ−ト工法)
・RPC工法(架構式のプレキャストコンクリート工法)や在来工法とプレキャストコンクリート工法を合成した複合工法

 

施工計画と施工管理

施工者は、工事前に施工計画書を作成し、承認を受けます。計画書に基づいて、工場での部材の製造工程を含む工事全体の工程管理と品質管理を行います。

 

部材に用いるコンクリートおよび部材コンクリートの品質

◇コンクリートの設計基準強度と気管単位容積質量は、JASSで規定されています。

耐久性を確保するための材料・調合

・スランプ 12cm以下
・単位水量 できるだけ小さく
・単位セメント費 最小値300kg/m3

◇部材製造工場で採取し、標準養生した供試体は、材齢28日の時に圧縮強度の平均値は設計基準強度以上でなければいけません。

部材コンクリートの圧縮強度

部材製造工場で採取し、部材と同じ養生を行った供試体の圧縮強度で表わします。
下記を満足させるようにします。
・部材脱型時において平均値が脱型時所要強度以上。
・部材出荷日において平均値が出荷日所要強度以上。
・部材コンクリートの圧縮強度の保証材齢が設計基準強度を下回らない。

 

材料

現場施工の鉄筋コンクリート工事に用いる材料

JASSの規定に定められています。

セメント

特記のない場合は、除、ボルトランドセメントで、超早強、中庸熱、耐硫酸塩、混合セメントのうちのB種にします。

骨材

粗骨材の最大寸法は、砂利で25mm、砕石で20mにします。
◇練混ぜ水、混和材料、鉄筋、溶接金網にはそれぞれ基準があります。

接合用金物、吊上げ用金物等、先付け部品

特記や設計図に従い、荷重に対して安全なものにします。

材料の取扱いおよび貯蔵

金物類は種類別に整理し、長期間雨露にさらされないように貯蔵します。

※建材を探す →  「コンクリート工事」セメント骨材
 

部材の品質

部材の寸法・先付け部品取付け位置精度の許容差

特記によります。

部材の鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さの最小値

非耐力壁・床・屋根 20mm
耐力壁・柱・梁 30mm
この値が確保できない場合は係員の指示に従います。

部材の仕上がり状態

構造、防水、耐久性、美観などの観点から、支障となるようなひび割れ・曲り・破損といった欠点があってはいけません。

 

部材の製造

部材の製造工場

国定工場で製造します。その他の場合は特記に従います。

調合強度

標準養生した供試体の材齢28日の圧縮強度で表わします。また、下記を満足するように定めます(両方の式を満足させること)。
式の挿入(施工p435)

調合管理のための基準強度

下式のいずれをも満足するように定めます。
式の挿入
独自圧縮強度と、部材と同一の養生をした供試体の圧縮強度との差として定めます。

◇部材製造用の型枠は清掃し、寸法・角度を正しく保つように組み立てます。
剥離剤には、コンクリートの硬化や仕上げ材の付着に支障になるものや、仕上げ面に気泡を生じたりするものは、使用できません。
◇鋼材・鉄筋・溶接金網の加工・組立てや、先付け部品の取付けは、部材製作図に従って行います。
◇コンクリート打込み前の検査は、JASSの規定に従います。
◇コンクリートの製造および打込みは、下記のように行ないます。
・材料の計量は、重量(水や化学混和剤溶液は、容積計量も可)で行います。
計量誤差は、JIS規格に定められた値以内にします。
・棟混ぜは、各材料が分離しないように均一に行います。運搬は均一性を保持した状態で行います。打ち込みは、部材に欠点が生じないようにして、振動機を用い密実に締め固めます。表面仕上げの種類は、特記に定められています。
◇コンクリートを加熱養生する場合は、部材製造計画に定めた方法で行い、基準を定め(加熱開始までの養生方法・温度の上昇勾配・最高養生温度とその継続時間)、この基準に従って行います。
しかし養生終了時に、槽内温度と外気温の差が大きい場合は、部 材の急激な冷却を防止する措置をとります。
◇部材コンクリートの圧縮強度が、脱型時所要強度を満足していることを確認します。
また有害なひび割れ・破損が生じないよう脱型します。
◇製品検査は、「品質管理および試験・検査」の基準によります。
軽微な破損で、構造上・防水上許容できるものは、補修し、再検査を受けます。
合格した部材には、必要事項や検査済の表示をつけます。不合格品は廃棄処分します。

 

部材の貯蔵および出荷

部材が損傷しないように、また円滑に出荷できるように貯蔵します。
部材の出荷の時には、コンクリートの圧縮強度が、出荷日所要強度を満足していることを確認します。

 

部材の運搬および受入れ

部材の運搬は施工計画書・輸送関係法令に従います。
部材の受入れは、検査済の表示の有無を確認し、運搬中の損傷があれば受け入れられません。
現場に仮置きするときは架台を設け、有害なひび割れ・破損・汚れが生じないようにします。

 

基礎および基礎梁

◇コンクリートの設計基準強度は特記によります。
◇部材接合部に用いる接合用金物顆(鉄筋や鉄骨部材も含む)は、設計図に従って正しく配置します。その時、コンクリートの打込みなどで、移動しないよう型枠に堅固に取り付けます。打込み前には位置・数量・種類を確認します。位置等の許容差は、特記または設計図に従います。なお、接合用金物類にはコンクリートなどが付着しないように養生します。

 

部材の組立て

施工計画書に基づいて施工要領書を作成し、これに従って行います。
作業指揮者(チームリーダー)を定め、その指示に従って下記の順で行います。
ただし機械の運転は有資格者が行う。
・部材の清掃・金物類の点検を行い、組立て後の部材の接合に支障がないようにします。
・部材の組立てを行なう場合、組立て用斜めサポートで支え、ボルトや溶接で仮接合します。
・部材の組立ては床上に印した墨および基準レベルに合わせます。柱や壁部材に倒れや目違いなどのないように、床部材のレベルや通りの精度が確保されるように行います。
・組立て位置の精度は特記によります。
・強風の場合、組立て用斜めサポートなどを点検し、補強を行います。
風速10m/sec以上、突風の時には作業を中止します。
・部材の組立ては、下階の接合部の構造上の安全を確認した後に行います。
直下階のコンクリートの圧縮強度が90kgf/口が未満なら、つなぎ材や控えなどで補強します。
更にその直下階では、鉛直接合部の充填用コンクリートの圧縮強度は90kgf/α以上にします。
・組立て時に、ひび割れ、破損した部材の措置は、係員の指示に従います。

 

部材の接合

◇プレキャストコンクリート工法における部材の接合部
構造体としての一体性を確保するための主要な部位になります。
その良否が建築物の構造耐力に直接影響します。
以下は壁式プレキャスト工法で一般に採用されます。
・部材端の接合部にコンクリートを充填し接合
・アンカーした鋼板や、鉄筋を互いに溶接
・コンクリートに貫通孔またはスリーブを埋め込み、鉄筋を挿入後モルタルを充填し接合。
以下はHPC工法等で一般に採用されています。
・アンカーされた鉄骨構造のガセットプレートに相当する鋼板を高カボルトで接合します。
・アンカーされた鉄筋相互はスリーブ・カップラー・添え鋼板を介して、庄着、締付け、溶接により接合します。
◇部材の接合部は所要の性能(耐力・変形性能・耐火・耐久・防水性能)を有し、欠陥のないものにします。
接合金物のかぶり厚さは、設計図・特記によります。
◇溶接工は、アーク手溶接・半自動溶接それぞれの有資格者があたります。
溶接棒および溶接ワイヤは、母材溶接形状、溶接姿勢といった施工条件に適したものを用います。
◇溶接は、部材組立て後にすぐ行い、雨または強風の日は避けます。
また、溶接箇所は、溶接前後に検査を行います。
◇スリープ接合・高カボルト接合・その他の接合の施工方法は、特記や設計図によります。ない場合は関係JASSに準じ施工します。
◇充填コンクリートは設計基準強度や、単位水量、水セメント比、スランプなどが定められています。
◇敷モルタルの設計基準強度は、部材の設計基準強度以上かつ210kgf/cm2以上とします。調合は、所要の強度・施工軟度が得られるように決めます。
◇敷モルタルの施工の前に、部材面を清掃し適度に水湿を行ないます。

 

接合部の防水

◇プレキャスト工法では、部材は密実にできているので、接合部の防水施工が重要になります。
一般に、接合部に充填される主な防水材料は、外壁目地部などに使用される建築用シーリング材と床や屋根部材の接合部に使用される液状シール材が主になります。
◇テープ状シール材やフラッシングシートを用いる防水施工は特記によります。

 

品質管理および試験・検査

◇施工者は、工事に先立ち設計図書に示された品質が確保されるように、品質管理と計画を定めます。
品質管理は品質管理責任者(一級・二級建築士および一級・二級建築施工管理技士)を決めて行ないます。
◇品質管理のために行う試験・検査の項目・方法・判定基準は、特記によります。コンクリート材料・鉄筋・溶接金網、鋼材、防水材料はJASSの規定によります。
◇圧縮強度の試験方法は、養生は現場水中養生とします。時期・回数は、1日1回以上、充填コンクリートの打込み時に、供試体を3個採取し測定します。材齢28日の供試体3個の圧縮強度の平均値がFC以上であることを判定基準とします。

 

用語

・ウェットジョイント
後打ちコンクリートまたはモルタルそのものの応力伝達によって、プレキャスト部材どう しを接合する接合方式。
・ドライジョイント
後打ちコンクリートまたはモルタルを介さずに、溶接合または機械的接合された鋼材など の応力伝達によって、プレキャスト部材どうしを接合する接合方法。
・コッター筋
鉛直接合部のシャーコッターより出ていて、ループ上にラップするかまたは溶接接合して 耐力壁を接合している鉄筋。
・シャーコッター
鉛直接合部に作用するせん断力に抵抗するために、耐力壁の小口に設けられた歯型の凹凸。
・セッティングベース方式
上下階の耐力壁にアンカーされた先付け金物に添え金物を溶接合した、いわゆるセッティ ングベースを介して応力伝達をはかる接合方法で、ドライジョイントの一種である。
・コラムトリ方式
架構式プレキャスト構造において、はりと柱が一体となったサ字またはキ字形の部材を接 合して構成する工法。
・二本目地構造
鉛直接合部の壁厚方向の全断面に充填コンクリートを施工するような複合構造方式。

 
広告