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鉄骨工事

鉄骨工事は、材料の工場での加工・輸送・工事現場での施工が主な工程になります。
騒音対策として、リベットの現場打ちに替わって、溶接や高力ボルト締めなどが行われるようになっています。

目次

一般事項

施工者による品質管理

施工品質を保証するために、全工程で品質管理を行いつつ、技術責任者をおきます。

鉄骨加工業者の選定

・加工業者には、鉄骨工事の規模、加工内容に応じて、技術と設備、施設を備えた製作工場をもつ業者を選びます。その際、自主管理能力を備え持つ鉄骨加工業者を選定します。

鉄骨材料・加工の品質

鉄骨材料・加工の品質については、鋼材の流通経路証明書や、品質検査証明書の提出が義務付けられています。
・施工については、溶接部非破壊検査報告書、工場溶接部超音波探傷検査(溶接部の開先形状、溶接工事の各工程の写真の添付)、鉄骨工事施工状況報告書の提出が義務付けられています。
・鉄骨加工業者は、(社)全国鉄構工業連合会のJグレードの認定工場とします。

Jグレードの認定工場の認定基準

・製作管理技術者 
鉄構管理技術者講習か、指導者研修会修了者が望ましいとされます。
・溶接技能者(JIS資格者)
管理技術者との重複可。P(パイプ)資格者はV.H資格者と見なします。
2Fあるいは3F
2V.Hあるいは3V.H
・契約電力
・上屋付作業場
・現寸場  工場内の鋼板敷現寸場も可。
ポータブル自動ガス切断機
ボール盤
能力16m血φ以上、パンチャーも可とする1台は電動ドリル(可搬式)で可。

アーク溶接機
1台は手動アーク溶擦機にします。他はエンジンウェルダ、半自動アーク溶擦機、ガウジング装置
アーク溶接機との兼用可十分な容量のコンプレッサを含みます。

溶接棒乾燥器
可搬式可、100℃以上の乾燥可のものにします。

クレーン設備
ホイストも可とします。

下向溶接のための設備
ポジショナー、回転治具、溶接用架台等があります。

検査器具
溶接用 ナカゲージ、クランプ式電流計等があります。
精度用 スチールテープ、ノギ又等があります。

工法の選定と書類提出

・設計図書に記載ない施工の手段、方法は、施工者の責任で行います。
・記載のある場合は、これに従います。他に良い方法がある場合は、施工者が立案・協議して選定します。
・工事を始める前に施工計画書、工場製作要領書・現場施工要領書、工程表の提出が義務 付けられています。

施工計画書

・施工業者、鉄骨加工業者は工事着手前に施工計画書・工程表・溶接技術者資格証明書等を提出します。
・以下の項目が挙げられます
総則、工事概要、工事担当及び組織、仮設計画、要員計画、建方計画、接合計画、品質管理、検査、他工事との関連、安全管理

工場製作要領書・工事作業の施工計画書

総則、工事概要、工場組織、材料、工作、溶接、品質管理、検査、運搬、その他

現場施工要領書

加工図の作成、材料検査、加工組み立て、製品検査、塗装、搬出運搬等の時期。
鉄骨加工業者名、施工実績及び管理組織図
総則、工事概要、現場組織、建方作業、高力ボルト接合作業、溶接接合作業、安全管理

品質保証

・品質保証の原則
・設計品質
・施工品質の保証
・適用の範囲

工事関連の製作機械設備

使用材料の名称、規格、製造所名、使用箇所、材質の異なる鋼材の識別方法
材料加工の方法と、溶接部材の開先の形状
溶接技術者と、非破壊検査技術者の資格(資格証明書)
溶接工の資格(資格証明書)
工場での組み立て、溶接の工法
試験と検査の方法・要領、合否の判定基準
塗装の材料、工法と施工箇所
製品の運搬計画、運搬方法、養生方法、部材の大きさと検討
現場作業の施工計画(現場施工要領書)
工程表
アンカーボルトの設置、材料検査、建方検査、現場接合、完成時期
建て方施工業者名と、その管理組織図

鉄骨工事としての仮設計画

建て方計画
組み立順序、建て方機械の種類と性能、組立て部材の集積場所、方法、建て入れ検査の合否の基準、安全管理の方法
溶接技術者、非破壊検査技術者の資格(資格証明書)
溶接工の資格(資格証明書)
工事現場における接合の工法、検査方法及びその合否の判定基準
自主管理
自主管理のための検査及び試験

 

材料

構造用鋼材の品質は、JIS規格品とします。

構造用鋼材種別

一般構造用圧延鋼材SS、溶接構造用圧延鋼材SM、溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材SMA
一般構造用軽量形鋼SSC、一般構造用溶接軽量H形鋼SWH、一般構造用炭素鋼鋼管STK
一般構造用角形鋼管STKR、溶接構造用遠心力鋳鋼管SCW

・形状・寸法は、JIS規格によります。
熱間圧延棒鋼とバーインコイルの形状、寸法、重量やその許容差
熱間圧延形鋼の形状、寸法、重量とその許容差
熱間圧延鋼板及び鋼帯の形状、寸法、重量とその許容差
熱間圧延平鋼の形状、寸法及び重量とその許容差
一般構造用軽量形鋼
一般構造用溶接軽量H形鋼
一般構造用炭素鋼鋼管
一般構造用角型鋼管
溶接構造用遠心力鋳鋼管
平行フランジみぞ形鋼の形状、寸法、重量とその許容差

・ボルト・ナット・スタッドは、JIS規格に従います。
摩擦接合用高力六角ボルト・六角ナット・平座金のセット
2種(A、B):ボルトF10T、ナットF10、座金F35
構造用トルシア形高力ボルト・六角ナット・平座金のセット
ボルトS10T、ナットF10、座金F35
六角ボルト(仕上げ程度:中)強度区分:4T
六角ナット(仕上げ程度:中)強度区分:4T
ばね座金〔2号(一般用)〕
平座金(並丸)
頭付きスタッド
熱間成形リベット
建築用ターンバックル
建築用ターンバックル胴種類:割わく式(ST)またはパイプ式(PT)
建築用ターンバックルボルト
種類:羽子板ボルト(S)または両ねじボルト(D)

・溶接材料は、JIS 規格によります。
軟鋼用被覆アーク溶接棒
高張力鋼用被覆アーク溶接棒
耐候性鋼用被覆アーク溶接棒
炭素鋼と、低合金用サブマージアーク溶接ワイヤ
炭素鋼と、低合金用サブマージアーク溶接フラックス
軟鋼と、高張力鋼用マグ溶接ソリッドワイヤ
耐候性鋼用炭酸ガスアーク溶接ソリッドワイヤ
軟鋼と、高張力鋼用アーク溶接フラックス入りワイヤ

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工作と組立て

工場での鋼材の工作は、建築物の規模、構造、立地条件を考慮して立案させた鉄骨工事の全体計画のもとに進められます。
・現場の実情に応じた建方作業の方針に従って、工作順序を決めます。
・輸送、建方などを考慮し、寸法や重量の大きい部材の分割工作の方針を決めます。
・同種部材を連続加工し、生産能率を上げるよう計画します。
・加工部材の集積、養生、発送などを考慮します。

 

工作順序

工作図 ― 原寸 ― 型取り ― ひずみ取 ― けがき ― 切断 ― 孔あけ ―組立 ― リベット打ち・溶接・ボルト締 ― ひずみ取 ― 検査 ― 塗装 ― 発送

工作図

・工作図は設計図書に基づいて作成し、承認を受けます。
誤記などによる設計図書との食違いは、鉄骨加工業者の責任となります。
・工作図は設計図書に代わって製作、建方に対する指示書的役割も果たすものです。
伏図、軸組図、部材リスト、詳細な形状、寸法、数量、製品符号、材質、溶接、 高カボルト接合部の形状、寸法、継手符号、材質、設備関連付属金物、鉄筋孔、仮設金物、ファスナー類などを明示します。

原寸

・原寸には、床書き原寸作業とシナイ(定規)およびフィルム(型板)取り作業があります。
床書き原寸作業の場合、工作図をもってその一部または全部を省略することができます。
・鉄骨製作用鋼製巻尺、工事現場用鋼製巻尺は、JISの1級品を使用し、事前に照合して誤差を確認します。
照合時のテープ張力は5fとする。

・加工後の鋼材の識別は、日本鋼構造協会「構造用鋼材の識別表示標準」によります。
鋼材には工事名称が明確となるような略号などを記します。

けがき

・けがきは、工作図、定規、型板などを用いて、後の工程で必要となる事項を正確、明確に記します。
・高張力鋼、曲げ加工される軟鋼の外面には、ポンチ、たがねなどによる打痕を残してはいけません。
・けがき寸法は、製作中に生ずる収縮、変形および仕上げ代を考慮した値にします。

切断

・鋼材の切断は、形状に応じて最適な方法で行います。アーク切断する場合は、自動アーク切断機を用います。
・せん断切断は、板厚13mm以下にします。
・部材自由端部のガス切断面の精度は、粗さ100S以下、ノッチ深さ1mm以下にします。
・開先加工面精度は、粗さ200S以下、ノッチ深さ2mm以下にします。
・スカラップ加工には、切削加工機かアタッチメント付き手動ガス切断機を使用します。
スカラップ加工面の精度は、粗さ100S以下、ノッチ深さ1mm以下にします。

孔あけ

・高力ボルト用の孔明け加工は、ドリルあけにします。
接合面をブラスト処理する場合は、ブラスト前に孔あけ加工します。
・ボルト、アンカーボルト、鉄筋貫通孔は、ドリルあけにします。
板厚が13舒焚爾了は、せん断孔あけにします。
まくれが生じた場合は、グラインダを使って修正します。
・アンカーボルト、型枠セパレータ、配管用貫通孔、および内外装等の付属金物の孔は、孔径30舒幣紊覆薀ス孔あけにしても構いません。
切断面のあらさは、100S以下、孔径の精度は±2舒焚爾砲靴泙后
・孔あけ加工は、部材表面に対し直角度を保ちます。孔あけ加工後の孔周辺のまくれ、 たれ、切粉などは完全に除去します。

曲げ加工、矯正、

・ひずみ量が大きく、製品精度を確保できない場合は矯正します。矯正は、常温か熱間で材質を損なわない温度で行います。
・曲げ加工は、常温か、加熱加工とします。加熱加工の場合は、赤熱状態で行ないます。
青熱ぜい性域で行ってはいけません。
・常温加工での曲げ内半径は、材料の板厚の2倍とします。
・設計図書で、メタルタッチ(受圧面)が指示されている部分は、所定の角度とあらさを確保できる加工機を使用し、部材相互が十分密着するよう加工します。

組立

・組立てにあたっては、符号・材質・数量などの確認、および、汚損、腐食、有害な傷がないことを確認し、製品精度に関係するひずみを矯正しておきます。
・仮付け溶接材料は、JIS規格値で引張強さ50kgf/mm2以上の鋼材、板厚25mm以上の鋼材には低水素系の溶接材料を使用します。
・組立ては、作業に適した定盤やジグを用いて行います。構造形式、溶接方法、順序などを考え、溶接によるひずみが最小となるように組立てます。
・仮付け溶接は、必要最小の箇所とし、ショートビードにならないようにします。
標準長さは、t≦6で30mm、t >6で40mmとします。
また、開先内には仮付け溶接を行いません。

・鉄筋や設備配管用の貫通孔は、設計図に従って加工します。
丸鋼の場合、鉄筋の貫通孔の径は、鉄筋径+10mmとします。
異形鉄筋は、D−10:21、D−13:24、D−16:28、D−19:31、D−22:36D−25:38、D−29:43、D−32:46mmとします。
・ピンやローラーは、正確に仕上げ、欠点のないものにします。ピン孔は正確にあけ、 孔の内面は、平滑でまっすぐなものにします。部材の表面に対して直角にします。
・ピン孔は、原則として部材を溶接した後にあけます。

 

高力ボルト接合

・ナットを締め付けることによって、ボルトに張力を発生させ、その力によって接合部材間に摩擦力を起こし、これによって応力を伝える接合のことです。
・せん断抵抗によって応力を伝えるリベット接合や、普通のボルト接合とは原理が異なります。

高力ボルトの特徴

・無騒音工法です。
・広い摩擦面で力を伝えるので、リベットのように孔周辺の局部応力の集中がなく、応力の伝達が円滑に行なわれます。
・部材問に摩擦力が働くので、部材間のすべり変位がなく、剛性が高くなります。
・破壊時には高カボルトのせん断力も協力して働くので、破壊強度が高いです。
・経済的には、リベット接合よりやや高価で、施工上も留意する点が多くなります。

高力ボルト

・高力六角ボルトやトルシア形高力ボルトが使用されます。
ボルト、ナット、座金の3点セットとして規格が決まっています。バラバラにして、他のものと、混用してはいけません。

JIS規格による等級

種類         ボルト   ナット 座金
高力六角ボルト     F10T   F10 F35
トルシア形高力ボルト S10T   F10 F35

ボルトの呼び径           M12  M16  M20  M22  M24
締め付け長さに加える  高力六角ボルト   25   30   35   40   45
長さ(単位:mm)   トルシア形高力ボルト   25   30   35   40

ボルトの呼び径     同一ロットのセットについてボルト張力の平均値
        常温(10℃~30℃) 常温以外(0℃~60℃)
M16          11000〜13300     10600〜13900
M20          17200〜20700     16500〜21700
M22          21200〜25600     20500〜26800
M24          24700〜29800     23800〜31200

高力ボルトの取り扱い

・未開封状態で工事現場へ搬入します。
搬入時に、荷姿・外観・等級・径・長さ・ロット番号を確認します。
・メーカーの社内検査成績表の提示を求め、搬入品が発注時の条件を満足することを確認します。
・トルクコントロール法による高力六角ボルトや、トルシア形高カボルトのボルト張力確認検査を行ないます。

高力ボルト張力確認検査

・メーカーおよび呼び代表1ロットにつき、5セットを任意に取り出して行います。
・5セットのボルト張力が、上表の規定値を満足することを確認します。
・規定値を外れた場合、同一ロットから、新しく10セットを任意に取りだし、上記同様の確認検査を行います。その平均値が上記規定値を満足しない場合、該当呼び径の全ロットを交換します。
・検査に用いる軸力計・締付け機器は、所要の性能を有し、整備されたものを用います。

工事現場での取扱い

高力ボルトは、種類、等級、径、長さ、ロット番号ごとに区分し、雨水、じんあいなどが付着せず、温度変化の少ない適切な場所に保管します。
運搬・締付け作業に当たり、ねじ山等を損傷しないようにします。
トルシア形では、ピンテール部も損傷しないように、ていねいに取り扱います。

接合部の組み立て

・接合部の密着性に注意し、母材接合部分のひずみ、反り、曲がり、スプライスプレートの曲がりがある場合は、摩擦面を損傷させないように矯正します。
・はだすきが1mmを超える場合は、接合部にフィラープレートを入れます。
フィラープレート材質は、SS41材で、両面とも摩擦処理します。
・板間に生じた2mm以下のボルト孔の食違いは、リーマ掛けして修正できます。
2mmを超える場合は、係員と協議して定めます。
・部材組立て時の仮ボルトの締付けは、建方時に従います。

高力ボルトの締付け施工

締付け順序
・標準ボルト張力が得られるように、継手の1群ごとに1次締付け ― マーキング ―本締めの順に、トルクコントロール法、ナット回転法により締付けます。
・締付けは、高カボルトに異常がないことを確かめ、ボルト頭下やナット下に座金を1個ずつ敷き、ナットを回転させて行います。
座金、ナットに、表裏があるので、逆使いしないよう注意します。
・締付け作業は、1次締め、マーキング、本締めの3段階で行います。
・締付けおよび検査に用いるトルクレンチ、軸力計は、±3%の誤差範囲の精度が得られるように整備されたものを用います。

・1次締め
1継手、1群ごとに、本締めボルト挿入後、直ちに行います。
締付けは、プレセット型トルクレンチ、電動インパクトレンチを用いて行います。
・マーキング
1次締付け後、ボルト、ナット、座金、部材にわたるマークを施します。
・本締め
トルクコントロール法による本締めは、標準ボルト張力が得られるように調整された締付け機器を用いて行います。
締付け機器の調整は、毎日締付け作業の前に行います。
ナット回転法による本締めは、1次締付け完了後を起点として、ナットを、120度回転させて行います。

トルシア形高力ボルトの締付け

・締付け施工一般、1次締め、マーキングまでの工法は高力六角ボルトに準じます。
・本締め
本締めはトルシア形高カボルト専用の締付け機で、ピンテールが破断するまで締付けます。
締付け位置によって、トルシア形高カボルト専用締付け機が使用できない場合には、 高力六角ボルトと交換し、トルクコントロール法か、ナット回転法によって締付けます。

締付け後の検査

高力六角ボルト
・トルクコントロール法の場合
締付け完了後、すべてのボルトについて、1次締付け後に付したマークによりナットの回転量を目視により検査します。
回転量に著しいバラツキの認められる締付け群は、すべてのボルトについて、トルクレンチを用い追締めし、トルク値の適否を検査します。
受入れ検査時の平均トルク値の±10%以内にあるものを合格とします。
この範囲を超えて締付けられたボルトは取り替えます。
また、締忘れ、締付け不足の認められた群については、すべてのボルトを検査し、所要のトルク値まで追締めします。

・ナット回転法による場合
締付け完了後、マークによりナット回転量が与えられているか目視検査します。
1次締付け後のナットの回転量が、120°±30°の範囲にあるものを合格とします。
これを超えて締付けられたボルトは取り替えます。
また、回転量が不足しているボルトは、所要の回転量まで追締めします。

トルシア形高力ボルト
・締付けを完了した全てのボルトについて、ピンテールが破断されていることを確認します。
1次締付け後に付したマークのずれによって、共回り・軸回りの有無、ナット回転量を目視検査し、異常の認められないものを合格とします。
検査の結果、ナット回転量に著しいバラツキの認められる群については、その一群の全ボルトのナット回転量を測定し、平均回転角度を算出し、±300の範囲のものを合格とします。
不合格となったボルトは新しいものに取り替えます。
また、締忘れのボルトは、異常のないことを確認したうえで締め付けます。

・ボルトの取り替えと再利用の禁止
ナット・ボルト・座金など共回り・軸回りを生じたり、回転量に異常が認められた場合は、新しいセットに取り替えます。
一度使用したボルトは、再び使用できません。

 

溶接

鉄骨工事において、なぜ溶接が大切か。

鉄骨造の最大の欠点は、構造体の「ゆれ」による、接合部の溶接の傷、損傷、欠損が 構造体にもたらす影響です。
よって溶接に関しては、溶接技術者を置くといった、細部に渡る規制が設けられています。

溶接の特徴

・リべット孔による欠損断面がないので、鋼材料が少なくて済み、建築物の軽量化を図ることができます。
・リべット打ちを、行なわなくてよいので、無音、無振動で施工することができます。
・材料加工、組立に当たって、熟練工を必要とします。
・施工精度が悪いと構造上、非常に危険になります。
・溶接部の検査が難しくなります。

溶接接合の種類

アーク溶接・ガスシールドアーク半自動溶接・セルフシールドアーク自動溶接・サブマージアーク自動溶接・狭間先溶接・消耗ノズル式エレクトロスラグ溶接・スタッド溶接等があります。
広く使用されているのは、アーク手溶接・ガスシールドアーク半自動溶接・セルフシールドアーク半自動溶接です。

資格証明書や工事経歴書の提出

・構造上主要な部分の鉄骨を溶接接合する場合は、溶接技術者をおきます。
溶接技術者は、日本溶接協会から認定された資格を有する者とします。
・溶接工は、構造物の溶接に最近6ヶ月以上従事している者で、技量証明書を発行出来る者とします。
・手溶接(アーク溶接)、半自動溶接の技術基準は専門級とします。
・自動溶接の場合は、手溶接の基本級以上が必要となります。
・仮付け溶接の場合は、手溶接の基本級以上が必要となります。
・スタッド溶接は、スタッド溶接工技術検定試験に合格した者とします。

溶接材料・管理

・被覆アーク溶接棒・ワイヤ・フラックスやガスといった溶接材料は、JIS規格品とします。
・溶接材料は、湿気を吸収しないようにします。湿気の疑いのある溶接材料は、乾燥機等で乾燥させて使用します。
・被覆剤のはく脱、汚損、変質、吸湿、著しいさびの発生したものは使用できません。

 

溶接工程

開先加工 ― 材の集結 ― 溶接 ― 補修

開先の確認

・溶接に先立ち、鉄骨精度検査基準に合わせて、開先の適否を確認します。
不適当な場合は、開先を補修します。
・母材の種類により、適切な溶接材を、規定に従い選択します。
・母材の溶接面は、溶接に先立ち、スラグ・水分・ごみ・さび・油・塗料、その他の溶接に支障となるものは除去します。

溶接

・溶接の作業方法、順序は、ひずみと残留応力が最小となるような対策をたて、欠陥のないよう溶接します。
・溶接の仕上がり寸法は、設計寸法を下まわらないようにします。
過度の盛り過ぎ、表面形状の不規則にならないように注意して行います。
・鋼材の種類、板厚により、必要に応じて適切な予熱を行います。
・同一筒所で溶接とリベット、高カボルトなどを併用する場合は、発生する熱でリベットや高カボルトがゆるまないようにします。
・仮付け溶接で、われが生じた場合は、仮付け溶接を削除してから本溶接を行います。

アーク溶接
・アークの開始点では、溶込み不良とスラグの巻込みに注意し、アークの終了点、ピードの終端では、われが発生しないように、溶着金属で、そのクレーター部を十分に埋めておきます。
クレーターとは、ピードの終端にできる凹みのことです。

エンドタブ
・開先のある溶接の両端には、精密な溶接ができるように、適切な形状のエンドタブを取り付けます。

スラグの除去
・スラグの除去は、各工程・加工および溶接完了後入念に行います。
溶接部附近に付着している著しいスパッタや塗装下地、摩擦接合面に付着しているスパッタは除去します。
スパッタとは、溶接中に飛散するスラグや金属粒のことです。
・完全溶込み溶接で両側から溶接する場合は、裏側の初層溶接をする前に、裏はつりを、表面溶接の金属部分が現れるまで行います。

ルート
ルートとは、部材相互のあきのことです。
・裏あて金の使用は、ルート部の溶込みが得られるように十分なルート間隔とり、裏あて金を密着させます。

板厚の異なる溶接
・板厚の異なる継手では、薄い板材から厚い板材へ滑らかに移行するように溶接します。
板厚差による段違いが10mmを超える場合には、厚い材を、1/12.5以下の傾斜に加工し、薄い板材と同じ高さになるように、開先部分で加工します。

SRC造梁通し型仕口のフランジ板継ぎで両面溶接を用いる場合は、10mmを超えても補強隅肉溶接を施すだけで構いません。
片面溶接は、係員の承認が必要です。

T形完全溶込み溶接の場合は、付き合わせる板材の厚さの1/4以上の大きさのすみ肉溶接を、付加します。

・突合せ溶接の余盛の高さの、許容差は4mm以下とします。限界許容差は6mm以下とします。

・等脚すみ肉溶接の両脚長について、著しい差は認められません。

・すみ肉溶接される相互の部材は、十分密着させます。

・設計図書に示す溶接長さは、有効長さです。
有効長さは、すみ肉サイズの10倍、かつ40mm以上とします。
・すみ肉溶接の溶接長さは、有効長さにすみ肉サイズの2倍以上を加えたものとします。

・すみ肉溶接は、凸形ビードを避け、余盛り高さは、0以上、0.4S以下(S:すみ肉のサイズ)、かつ、4mm以下とします。

・エンドタブを使用しないすみ肉溶接の始終端は、滑らかに回し溶接を行います。
・部分溶込み溶接は、所定の溶込みを確保するように施工します。
余盛り高さは、0以上、0.4S以下(S:すみ肉のサイズ)、かつ、4mm以下とします。

 

消耗ノズル式エレクトロスラグ溶接

・溶融したスラグ中を、流れる電流による抵抗発熱を利用して、ワイヤ・ノズル・母材の一部から溶融されて溶接が進む方法で、垂直で施工します。
ひずみ防止に注意し、溶接は中断してはいけません。
やむをえず継目が生じた時は、溶接後に欠陥を完全に除去します。
溶接の始終端は、大きなエンドタブを使用し、溶接後にこれを除去します。

溶融した金属を溶融スラグ下に堆積し、冷却凝固して溶接金属とします。この場合、一定の深さの溶融スラグを保持する必要があるので継手は立向きとなります。

 

スタッド溶接

・スタッド溶接は、特記がないならアークスタッドの直接溶接とし、下向姿勢で行います。
¢16以下の場合は、下向以外の姿勢でも可能です。
電源は専用電源にします。
サブマージスタッド溶接もあります。

 

狭開先溶接

狭開先溶接には、ガスシールドアーク自動溶接法を用います。
厚板の突合せ溶接で、I形などのすき間の狭いグループで行うアーク溶接なので、スラグの除去が困難になります。
狭開先の溶接に対しては、スラグ形成の少ないガスシールドアーク溶接法が最適です。
厚板の溶接に効果を発揮する特徴があり、溶接は走行ワイヤの揺動などが自動的にできる自動機であることに意味があります。

 

検査と精度

・溶接部の表面欠陥の検査と精度は特記に従います。

・完全溶込み溶接部の内部欠陥の検査方法は特記に従います。
特記のない場合は超音波探傷検査に従います。
超音波探傷検査は、完全溶込み溶接部のすべてを対象とし、抜取り検査します。
抜取り方法は、欠陥が明らかな場合を除き、特記のない場合には、下記の方法に従います。

・検査ロットの構成
溶接箇所数300個以下で、1検査ロットを構成します。
また、実状に応じ検査ロットは節ごと、あるいは階ごと、工区ごとに区切って検査ロットを構成します。
・サンプリング
各検査ロットごとに合理的な方法で、個数30個のサンプリングを行います。
・ロット合否の判定
大きさ30個のサンプル中の不合格個数が1個以下のときは、ロットを合格とします。
4個以上のときは、ロットを不合格とします。
サンプル中の不合格数が1を超え4個未満なら、更に30個を抜取り、総計60個の中に不合格品が4個以下のときは、ロットを合格とします。5個以上のときは、不合格とします。
・ロットの処置
合格ロットはそのまま受け入れ、不合格ロットは残り全数を検査し、不合格品は、すべて補正を行い再検査します。

スタッド溶接部の検査

・スタッド溶接部の検査は、溶接後の仕上がりの高さ、溶接外観の検査や打撃曲げ検査を行います。
不合格となった場合は、同一ロットからさらに2本のスタッドを検査します。
2本とも合格の場合はそのロットを合格とし、1本以上が不合格の場合は、そのロット全数について検査します。
・打撃曲げ検査
100本または主要部材1個に溶接した本数のいずれか少ない方を1ロットとします。
1ロットにつき、1本に対し曲げ角度150°に打撃し、溶接部に割れその他の欠陥が生じない場合を合格とします。

 

溶接部の補修

施工中に生じた不良溶接部の補修

・補修要領は、製作要領書に記載して係員の承認を得ます。
・溶接割れの範囲が局所的でない場合や、母材の割れである場合は、係員に報告し、その補修方法について承認を得ます。
・施工中に不具合が多発した場合、発生原因を究明し、再発防止策を立てます。

受入検査による不合格溶接部の補修

・受入検査で不合格となった溶接部は、すべて補修し、再検査し合格させます。
・不合格となった溶接部の補修は、係員と協議して行います。
指示のない場合は下記の補修方法に従います。

補修方法

・アンダーカットまたは余盛不足の箇所は、整形し補修溶接し、必要に応じグラインダー仕上げにします。
・オーバーラップ、過大な余盛は、グラインダー仕上げにします。
・ピットは、アークエアガウジング、グラインダー等で削除し、補修溶接します。
・表面割れは、両端から50mm以上はつり取り、船底型の形状に仕上げ、補修溶接します。
・スラグ巻込み、落込み不良、融合不良、ブローホール、内部割れは、非破壊検査記録に基づいて欠陥位置をマークし、アークエアガウジングによりはつり取り、両端より20mm程度除去し、船底型の形状に仕上げてから再溶接します。
明らかな割れは、割れの端部より50mm以上はつりとります。

スタッド溶接の補修

・不合格となったものは、50〜100mmの隣接部に打ち増します。
打ち増しできない場合、不合格スタッドを除去し、母材表面を補修溶接し、グラインダーで仕上げた後に打ち直します。
・打撃曲げ検査によって150°まで曲げたスタッドは、欠陥の発生しない限りそのままで構いません。

 

ボルト接合

ボルト接合は建築基準法により、軒高9m以下、スパンが13m以下の構造物でかつ、延べ面積が3000岼焚爾両豺腓砲里濟藩僂任ます。

ボルト、ナット、座金の品質は、特記に従います。

特記がない場合は、JIS規格に従います。
・ボルト長さは、呼び長さで示します。
締付け長さに応じて締付け終了後、ナットの外に3山以上ねじ山が出るようにします。
・座金は、ボルト頭下およびナット下に各1枚づつ使用します。
・ボルト孔径は、ボルト径+0.5にします。
ボルト孔の食違いが、0.5mm以上の場合は、リーマー掛けをせずに、スプライスプレートを交換します。

締め付け

・ボルトは、ハンドレンチ、インパクトレンチなどを用いて締め付けます。
・構造上重要な部分では、ばね座金あるいはロックナットを使用し、ナットの戻りを防止します。

検査

・ボルト締め完了後、その品質・寸法・戻り止め・締忘れ・締めすぎ・ゆるみについての不良ボルトの有無を全て検査します。
・不良ボルトは、取り替え、締め直します。
戻り止めがないものは取り付けます。
締めすぎたものは取り替えます。

 

サビ止め塗装

工場で加工、組立てを終わった部材は検査終了後、発送の前にサビ止め塗装を行ないます。
・素地調整は、1種Aは、りん酸塩化成被膜処理、Bは、ブラストおよび2種は、動力工具を主とします。手工具併用のサビ落しとし、いずれか特記に従います。
特記のない場合は2種とします。
1種Bは、エッチングプライマー、ジンクリッチプライマー、エポキシ樹脂プライマー、処置にします。
・塗料は、JIS規定のサビ止め塗料にします。
一般的環境では、亜鉛メッキ面は、ジンククロメートサビ止めペイント、鉛酸カルシウムサビ止めペイント、等にします。
露出など苛酷な環境では、塩化ゴム系プライマー、金属系素地用2液形エポキシ樹脂プライマー、エッチングプライマーとします。
塗料の選定および塗り回数は特記に従います。
・塗装場所の気温が5℃以下、また相対湿度が80%以上のときは、塗装作業を中止します。
降雪、降雨、強風、結露により表面に水滴が付着している場合は、塗装作業を中止します。
・工事現場溶接部として開先を取った部分にサビが発生するおそれのある時は、溶接に支障のないサビ止め処置を行います。
・工事現場における接合部の末塗装部分や運搬、ワイヤによる塗装の損傷部分の素地調整は2種とし、施工後、塗装します。
・塗膜に生じた欠陥は、除去してから再塗装します。塗膜厚の不足は増し塗りにします。
・塗装しない部分

・工場塗装検査

 

製品検査と発送

・製品検査の製品精度は「鉄骨精度検査基準」に従って行います。
製品検査は、施工者等が、自主管理の下に製作するときに行うものです。
結果は記録し、寸法精度検査は、柱の長さ・階高・仕口部の長さ・柱のせい・仕口部のせい・梁の長さ・梁のせいの7項目について全数検査します。
検査成績表に記録し、必要に応じて係員に提出します。
合否判定基準は、検査項目ごとに全計測数に対し管理許容差を超える割合が、5%以下かつ限界許容差を超える割合が0%のとき合格にします。
製品検査の結果、発見された不良箇所は、手直しを行います。
・特記のない場合の主な検査項目は、寸法精度検査、取合部検査、外観検査、スタッド溶接検査、溶接部内部欠陥検査、工場締め高カボルト締付け検査、付属金物類検査、出来高検査です。
・塗装の指定あるものは、製品検査を終了した後、塗装します。
・各部材には、工事場組立符号図に基づいた部材符号、取合い符号を付けます。
単一部材で5トンを超える部材は重量、トラスなど重心の求めにくいものは、重心位置を明示します。
・部材表を作成し、建方順序に従い符号、数量を照合します。
・輸送計画は、建方計画に支障を生じないよう関係法令に基づいて定めます。発送の際には製品を損傷しないよう、特に輸送中に荷くずれしないよう防護措置を施します。

ここまでが、工場製作の範囲です。

 

工事現場施工

工事場施工は、工事現場に搬入された各部材の仕分け、地組、建方や部材相互の接合によって、鉄骨工事が完了するまでに要する作業や、これらに関する仮設工事を対象とします。

鉄骨工事技術者

・工事施工者は、鉄骨工事担当技術者を定め、担当業務とその責任を明確にします。
・担当技術者は、施工計画書を作成し、係員の承認を受けます。

鉄骨部材と他の部材との接合 JASS規定による定着

・鉄骨部材と鉄筋コンクリート部材との接合、柱脚形式、ボルトの保持、埋込み方法は、下図のようになります。



アンカーボルト

・アンカーボルトにはA種とB種があります。
A種は、構造耐力を負担します。B種は、構造耐力を負担しません。
特記に従います。
・特記のない場合はB種を使用します。
・形状、寸法、品質は、4−M20、定着長さ25d、先端180°フック付きにします。
・アンカーボルトは、建て方までの間、さび、曲がり、ねじ部分の破損がないよう、ビニールテープ等で養生します。
・保持・埋込み方法は、特記に従います。
特記がない場合は、上記、図に従います。

ベースプレート

ベースプレートは、特記に従います。
特記がない場合は、上記、図のように、あと詰中心塗り工法にします。
・あと詰め工法に使用するモルタルは、無収縮モルタルです。

ナットの締付け

ナットの締付けは、建入れ直し完了後、アンカーボルト張力が均一になるように行います。
コンクリートに埋め込まれる場合を除き2重ナットを用いて戻り止めを行います。

建方順序、建方機械、荷さばき方法

建物・敷地・工程等を考え、建方順序、建方機械、荷さばき方法の建方計画を決定します。その際、建方途中の部分架構が各種の荷重に対して安全であることを確認します。

建方機械

建方機械(表参照)は、最大荷重、作業半径、能率などを考えて選定します。
その際、架台、路盤、構台が、各種の荷重に対して安全であることを確認します。

製品の受入れ

製品の受入れは、鉄骨加工業者の送り状と照合し、数量、損傷の有無などを確認します。部材は、適切な受台の上に置き、変形・損傷を防ぎます。
部材に変形・損傷が生じた場合は建方前に修正します。

地組

地組は、寸法精度を確保するため、適切な架台・ジグなどを使用して行う。

建方に使用するワイヤーロープ、吊金物等は、許容荷重範周内で正しく使用します。

定期的に点検し、損傷のあるものは廃棄します。

建入れ直しでは、加力部分を養生します。

ターンバックル付き筋かいを有する構造物では、その筋かいを用いて建入れ直しを行ってはいけません。
架構の倒壊防止用ワイヤーロープを使用する場合、このワイヤーロープを建入れ直し用に兼用することも可能です。
建入れ直しは、「鉄骨精度検査基準」の規定に従います。

建て方作業で、本締めまたは溶接までの間、外力に対し架構の変形・倒壊を防ぐためのボスとを仮ボルトと呼びます。

仮ボルトは中ボルトなどを用い、ボルト一群に対して、高力ボルト継手では1/3程度かつ2本以上、混用継手や併用継手では1/2程度かつ2本以上をバランスよく配置し、締付けます。
また、溶接継手におけるエレクションピースなどに使用する仮ボルトは全数締付けます。
これを適用しない時は、風、地震、積雪などの荷重に対し検討し、適切な措置を施します。

建方精度の計測

骨組、鋼製巻尺、器具の温度による変動が少なくなるような時刻に行います。
鋼製巻尺は、使用に当たり、指定された張力で測定し、温度補正を行います。

接合部・建方の精度

特記のないかぎり、「鉄骨精度検査基準」に従います。

工事現場接合

溶接、高カボルト接合、ボルト接合の項目に従いますが、次項に留意します。
・工事現場溶接は特記のないかぎり、アーク手溶接、ガスシールドアーク半自動溶接や、セルフシールドアーク半自動溶接、スタッド溶接を用います。
・ウェブを高カボルト接合、フランジを工事現場溶接接合とするような混用継手は、原則として、高カボルトを先に締付け、次に溶接を行います。
・高カボルトと溶接の併用継手は、まず高カボルトを先に締付け、次に溶接を行います。
・増築・改築等で既存建物の鉄骨に溶接する場合は、係員の指示により周囲の状況を調査し、特に既存鉄骨の溶接性を確かめます。
・付帯する工事で、金物、その他を鉄骨部材にあと付け溶接する時は、母材に損傷を与えるような溶接を行ってはいけません。鉄骨に溶接を行う場合は、係員の承認を受けます。
デッキプレートを鉄骨部材に溶接する場合は、特記のないかぎり、アークスポット溶接(焼き抜き栓溶接)で行います。
デッキプレートを型枠がわりに使用する場合の溶接は除外します。

工事現場における安全衛生管理は、関係法令に従い実施します。

※建材を探す →  「鉄骨工事」関連資材
 

耐火被覆

耐火被覆の範囲および耐火性能は、建物の規模により建築基準法で規定されています。

耐火被覆の工法と材料

・打設工法
コンクリート、軽量コンクリート
・左官工法
鉄綱モルタル、鉄網パーライトモルタル
・吹付工法
吹付けロックウール、湿式吹付けロックウール、吹付けモルタル、吹付けプラスター
シリカ系モルタル、アルミナ系モルタル
・巻付工法
セラミックファイバー一ブランケット
・成形板張り工法
無機繊維混入ケイ酸カルシウム板、ALC板、無機繊維強化石こうボード、 押し出しセメント板、プレキャストコンクリート板
・組積工法
コンクリートブロック、軽量コンクリートブロック、石、れんが
・メンブレン工法
ロックウール吸音板
・合成工法
上記各種材料と工法の組合せ

吹付けロックウール工法には、工場配合による乾式工法と、現場配合による半乾式工法があります。

下地処理

下地処理は、鉄骨面に浮さび、油等が付着している場合、ケレン、ウェスで清掃し、鉄骨面にさび止め塗装を施すかどうかの判断や、材料の選定は、特記に従います。

施工

施工は下地処理の後に速やかに行います。
施工中、雨水のかかる部位については、シート張りなど耐火被覆材に雨水がかからないよう養生します。
粉塵の飛散する事がある場合は、シート張りや防塵マスクの着用といった対策を行います。

検査と補修

・左官工法、吹付け工法の検査と補修は、施工面積5m2当たり1箇所を単位として、ピンなどを用いて厚さを確認します。
・吹付工法の施工後における厚さとかさ比重は、コアを採取して測定します。
・測定頻度は各階ごと、床面積1500m2ごとに各部位1回を原則とします。
1回につき5個、ただし、延床面積1500m2未満の建物では、2回以上行います。
・巻付け工法・成形板張り工法・組積工法・メンブレン工法の検査と補正は、材料入荷時に厚さとかさ比重を確認します。
その頻度は、各階ごと、床面積1500m2ごとに各部位1回を原則とし、1回につき3個とします。
・不合格の場合は、吹き増しまたは、再施工による補修を行います。

 

溶融亜鉛メッキ工法

溶融亜鉛メッキ部材の種類と付着量 

・部材は、JIS規格の適合品にします。
・適用種別、メッキ種類、付着量はJASS規格に従います。
・メッキ種類は、全て2種とする。
・形鋼・鋼板類の付着量は、550g/岼幣紊砲靴泙后
・高力六角ボルトの付着量は、550g/岼幣紊砲靴泙后
・ボルト・ナット類の付着量は、350g/岼幣紊砲靴泙后
・アンカーボルト類の付着量は、350g/岼幣紊砲靴泙

厚さ3.2mm未満の形鋼・鋼板類の付着量は、特記に従います。

部材寸法と加工

・メッキする部材の最大寸法は、メッキ槽の大きさを考慮し、一度づけでメッキできる寸法とします。
・メッキする部材の断面形状は、左右対称形にします。
ボックス構造、パイプ構造など閉鎖形断面の部材は、両端に亜鉛・空気の流出入用の開口を設けます。
・ビルトH材(溶接組立H形断面材)のウェブ板厚tは、せいDの1/100以上かつ、9mm以上とし、せいが600mm以上では、150mm以内の間隔に、9mm厚以上のスチフナーを設けます。
スチフナーなど亜鉛だまりになりやすい部分に、半径35mm以上のスカラップを設けます。
板厚3.2mm未満の部材を用いる場合は特記に従います。
・部材に取付ける鋼板の隅肉溶接部は、全周溶接とします。
重ねた板の溶接も全周隅肉溶接とし、重なる部分の面積は、約400cm2以下にします。
やむを得ず断続溶接する場合は、特記に従いますが、最小溶接長さは50mm以上にします。
・部材を冷間曲げ加工する場合の曲率半径は、板厚の3倍以上とします。

補修

・メッキによって生じたひずみは、木片などの当て物を行い、プレスなどを用いて補修します。加熱補修してはいけません。

外観検査   

全部材について行います。
・不メッキ
直径2mmを超えるものがあってはいけません。
・きず・かすびき
有害なものがあってはいけません。
・摩擦面のたれ
あってはいけません。

補修方法

・不メッキ・きず
局部的な欠陥が点在する場合は、ワイヤーブラシで入念に素地調整を行った後に、高濃度亜鉛末塗料(金属亜鉛末を90%以上含むもの)を2回以上塗布します。
欠陥部分が広範囲にわたる場合は、再メッキを行います。
・かすびき
ヤスリやサンダー掛けで平滑に仕上げます。
・摩擦面のたれ
ボルト孔および摩擦面縁に生じたたれは、ヤスリを用いて除去します。

施工および組立

・溶融亜鉛メッキ高カボルトを使用する場合の施工管理や締付けは、溶融亜鉛メッキ高カボルト技術協会の資格認定を受けた技術者や技能者が行います。
メッキ高カボルトは、建築基準法により、建設大臣の認定を受けたものにします。
種類は、1種・A
等級は、ボルトF8T、ナットF10、座金F35にします。
締付け長さに加える長さは、高カボルトより+5mmにします。
孔径は、高カボルトより+0.5mmにします。

・摩擦面はメッキ後、軽くブラスト処理を行い、表面粗度は50S以上にします。
処理範囲を下図に示します。これらはJASS規格によります。

・接合部の組立て、メッキ高カボルトの締付け、締付け後の検査は、高カボルトに準じます。
締付け後の検査では、規定のナット回転量に対し+30°〜−30°の範囲にあるものを合格とします。

メッキ部材に溶接を行ってはいけません。

やむを得ず行う場合の方法、前処理等は、特記に示されています。

 

鉄骨精度検査基準

・この基準は、一般の構造物の主要な鉄骨の製作や施工における、寸法精度の許容差を定めたものです。
・許容差は、限界許容差と管理許容差に区別して定めてあります。
・限界許容差は、これを超える誤差は原則として許されません。
・最終的な個々の製品の合否判定のための基準値です。

・管理許容差は、95%以上の製品が満足するような製作や施工上の目安として定めた目標値です。寸法精度の受入検査では、検査ロットの合否判定のための個々の製品の合否判定値として用いられます。
・寸法精度の受入検査において、個々の製品が限界許答差を超えた場合には不良品として、再製作します。
再製作できないなら、補修を行い再検査に合格する必要があります。
・個々の製品が管理許容差を超えても、限界許容差内であれば、補修・廃棄の対象にはなりません。

管理許容差を合否判定値として抜取検査を行う場合

検査ロットが不合格となった場合は、当該ロットの残りを全数検査します。
管理許容差、限界許容差を超えたものについては、係員と協議して補修や再製作といった処置を定めます。

例外

本基準は、以下に示すものには適用しません。
・特記による場合や、係員の認めた場合。
・特に精度を必要とする構造物や、構造物の部分。
・軽微な構造物あるいは構造物の部分
(4)JIS規格で定められた鋼材の寸法許容差。

 

用語

・係員
四会連合協定「工事請負契約約款」にいう監理者またはその代理人もしくはそれらが委任する者。
・協力業者
施工者との契約に基づいて、工事の遂行に協力する者。
・鉄骨加工業者
施工者との契約に基づいて、鉄骨製作を担当する者。
・施工者等
施工者、協力業者等、工事遂行に関係する者。
・製作工場
鉄骨加工業者が鉄骨を製作する工場。
・品質保証
要求される鉄骨の品質が十分に満たされていることを保証するために、施工者等が行う体系的活動。
・品質管理
要求される鉄骨の品質を経済的に作り出すための手段の体系。
・設計品質
施工の目標として設計図書および契約後協議により合意確定された品質。ねらいの品質ともいいます。
・施工品質
設計品質をねらって施工したものの実際の品質。出来栄えの品質、適合の品質ともいいます。
・係員の承認
工事実施に当たり、施工者等がその責任において立案した事項について、係員がその実施を了承すること。
・係員の指示
工事実施に当たり、係員がその責任において実施すべき事項を定め、施工者等に指示すること。
・協議
施工者らがその責任において立案した内容について、係員と合議し、最適の手段、方法などを選定すること。
・検査
鉄骨工事の各段階で、機器、材料または工事の出来形が、設計図書および見本、施工図
施工計画書などに示された品質特性に適合していうかどうかを判定すること。
・係員の検査
設計図書に規定された工程に達した場合に係員が行う検査。
・社内検査
施工者等が自主管理の下に行う各工程での検査。
また、鉄骨加工業者が製作完了部品について設計品質に適合し、所定の数量があることを工事現場へ発送する前に確認する最終検査。
・受け入れ検査
係員が工事目的物である鉄骨を受け入れるにあたり、実施する検査。社内検査が完了した後に行うことを原則とします。

 
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