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土工事

建築物の基礎を構築するための地盤の掘削・埋戻し、地下水の排出などを総称して土工事といいます。

目次

災害防止

土工事では、事故や災害を防ぐために、あらかじめ敷地の地盤調査や近隣調査を行います。
労働安全衛生法・建築基準法・廃棄物処理法の規定に従って、現場の地盤や施工の条件を考慮しながら安全に施工します。

近隣防護

・事前に敷地周辺の綿密な調査を行い、危害や損害を与えるおそれがある場合は、必要な処置をとります。とりわけ、道路、既存構築物、地下埋設物、河川、軌道、地下水に配慮します。
・騒音・振動・塵埃・油の飛散を極力少なくします。
・土砂、材料の搬出・搬入にあたっては、交通整理や道路清掃を行います。また、必要があれば洗車設備も設けます。
・残土や廃液は、廃棄物処理法に従って処置します。

 

施工計画

施工計画は本体工事だけでなく、近隣への問題にも関連するので、事前にきちんと検討しておきます。
工事の前に、敷地、近隣、地盤の状況に応じた施工計画書を作成します。
掘削方法・機械、構台、斜路、作業順序、残土処理方法、埋戻し方法のほか、山留め、排水、法面の安定、ヒービング、パイピング、ボイリングについても検討します。
資料が不十分な場合は、地盤調査や地下水調査を実施します。
工事を安全、円滑に行うことが困難な場合は、設計や施工法を変更します。

 

敷地整備

工事の円滑化のために、工事の前に下記に従い敷地を整備します。

・工事に支障のある樹木や古井戸、池、塵芥溜りを処理します。
・既存建物を解体、撤去する際には十分注意します。
・工事用出入口など破損のおそれのある路面は、道路管理者と協議して、改造、防護、補強します。
・敷地の地盤が軟弱な場合は、工事の規模や目的に応じて仮設道路を造成します。
・重機械を使用する場合、転倒しないよう作業地盤を点検・整備します。必要ならば作業床を造成します。

※建材を探す →  「土工事」敷地整地
 

根切り

建築物を良質の地盤の上に設けるために、敷地の表土を掘削することを根切りといいます。

根切りの分類

根切りは形状・工法・施工方法によって以下のように分類されます。
形状:□つぼ掘り□布掘り□総掘り
工法:□手掘り□機械掘り
施工方法:□前進掘り□後進掘り□垂直掘り

土の息角

息角とは土を盛ったとき、法面が自然にできて、崩れる寸前の傾斜角のことです。
根切りをする場合は、下記の土の息角に留意します。
・土質:息角
乾燥した砂:35度
水分のある砂:40度
水分の多い砂:30度
丸砂利:30度
角張った砂利:40度
乾燥した粘土:36度
水分のある粘土:45度
水分の多い粘土:15度
乾燥した普通土:40度
水分のある普通土:45度
水分の飽和した普通土:30度
軟岩の腐岩:37度
硬岩の腐岩:45度
沖積土:18度

根切りの施工

・切取り面が不安定にならないように、バランスよく掘削します。
・周囲の構造物、埋設物、道路を損傷しないようにします。必要なら保護施設を設けます。
・掘削が床付け面に達したら、検査をして次の工事に移ります。
・残土処分にあたっては、トラックに残土を積み過ぎないようにします。また交通渋滞、通行人への迷惑、道路の汚染が起こらないようにします。
・埋戻しは、腐食土、屑、粘土を含まない最適含水比の土を用います。厚さ30cmごとに十分つき固めながら何回にも分けて行います。最後に余盛りをします。
・排出土量、余盛り量に関しては、以下に示す掘削土の増量比に注意します。
・掘削土の増量比は以下の通りです。 砂または砂利:増量比15%
粘土:増量比25%
腐食土:増量比25%
粘土、砂、砂利の混合物:増量比30%
岩石:増量比75%

・大規模な盛土の場合は、最適含水比に近い土を30cmずつ盛土し、突き固め用具かローラーを使って締固めます。
小規模な盛土の場合も、良土を用いて、同様のしかたで締固めます。ただし、盛土の厚さが15cm未満のときは、下地のなじみ起こしをしてから締固めます。
・地ならしするときは、あらかじめその面を掃除してから平坦にかきならしておきます。その後、なじみ起こしをしてから、良土をまきかけて、歩行できる程度に締固めます。
・埋戻し、盛土、地ならしには、凍結した土砂は使用しません。

※建材を探す →  「土工事」埋戻し/盛土
 

山留め

掘削に際して、根切り側面を保護したり、土砂の崩壊や湧水を防いだり、近接する既存構造物の安全を確保したりすることを山留めといいます。また、そのために設置されるもののことも山留めと呼びます。

山留め計画

・山留め計画は、設計図書、地盤調査報告書、地中埋設物及び障害物調査書、周辺環境を参照して行います。
・以下のような施設は根切り・山留め工事に支障となることがあります。
公共施設:水道管、下水管、電信電話、電力関係の地中ケーブル、ガス管、警察・消防・交通関係の信号、火災報知機、安全地帯、通風口、街路樹
一般施設:隣接建物、井戸、池
・山留め工事に着手する前に山留め計画書を提出します。

山留め工法(1)――山留め壁のないもの

・法付オープンカット
掘削区域の周辺に斜面をとって、山留め壁や支保工なしで掘削する工法。周辺に法の敷地の余裕が必要。法面が崩れるおそれがない場合は、支保工がないので、施工能率がよいです。掘削土量および埋戻し土量が多いです。

山留め工法(2)――支保工のないもの

・自立山留め工法
山留め壁を根切り外周に自立させ、切梁などの支保工を用いず施工する工法。障害物がないので、施工能率がよいです。山留め壁根入れ部分で支持された片持ち梁として扱います。山留め壁頭部の変形が大きくなることがあるので注意します。一般的には、浅い掘削に限定されます。

・段逃げ山留め工法
自立山留め工法を数段階に設けたもの。上段の根入れ部の耐力の取り方が問題。そのため、土質によっては段の高さが制限されます。支保工がないので、施工能率はよいです。掘削土量と埋戻し土量が多いです。

山留め工法(3)――山留め壁・支保工のあるもの

・親杭横矢板工法
鉛直に設置した親杭に、掘削の進行に伴って横矢板をはめ込む工法。比較的硬い地盤や玉石層でも施工可能です。止水性がないので湧水処理に問題がありますが、水圧がかからないので支保工に有利です。打込み時の振動・騒音が問題になりますが、オーガーなどの削孔機を併用することで低減することができます。

・鋼矢板工法
接続性のある仕口をもつ鋼矢板をかみ合わせ、連続して打込んで山留め壁とする工法。止水性にすぐれ、軟弱地盤に適しています。ただし、地盤によっては打ち込めない場合もあります。打込み時の振動・騒音が問題となります。かみ合せ部がはずれた場合は、止水方法が問題になります。水圧を受けるので親杭横矢板工法に比べて支保工応力が大きいです。

・ソイルセメント柱列山留め壁
地盤の土にセメントミルクを注入しながら攪拌してソイルセメント壁を造成し、骨組みにH形鋼などを建て込んで築造した山留め壁。上記の二つの工法に比べて振動・騒音が少ないです。壁の剛性、止水性が大きいです。場所打ちRC地中壁よりも施工性がよく経済的です。

・場所打ちRC地中壁
地中に掘削したトレンチに鉄筋かごを入れ、コンクリートを打って造成した山留め壁。親杭横矢板工法、鋼矢板工法に比べて振動・騒音の問題が少ないです。壁の剛性、止水性が大きいです。孔壁保護に安定液を用いるので、安定液の処理が問題になります。親杭横矢板工法に比べて支保工応力が大きいです。

・水平切梁工法
側圧を水平に配置した圧縮材(切梁)で受ける最も一般的な工法。広く用いられていますが、支保工が障害になって、他の作業の能率が下がることがあります。

・アイランド工法
根切り面積が広く浅い場所に適した工法。まず、山留め壁に接して法面を残して土圧を支え、中央部を掘削して構造物を築造しておいて、さらにこの構造物から斜め切梁で山留め壁を支えながら周辺部を掘削する工法。水平切梁工法に比べて、切梁材と手間を節約できます。機械掘削できる中央部の作業性はいいものの、周辺に残す土の掘削が問題になります。広く、浅い場所の掘削に適しています。

・逆打ち工法
掘削と並行して地下構造物を築造し、これを支保工にして、下部の掘削と躯体の構築を下に向かって順次繰り返す工法。地階が深く広い場合に有効。構造体を地下工事の仮設として使用できます。ただし、コンクリートが逆打ちになるので打継ぎ部分に問題があります。そのため場合によっては補強の必要があります。鉄筋コンクリート造躯体の乾燥収縮によって、山留め壁が内側へ大きく変位するので注意します。

・地盤アンカー工法
切梁の代わりに、地盤アンカーによって山留め壁にかかる側圧を支えながら掘削する工法。地盤アンカーの垂直分力が加わるので、軟弱地盤への定着は不可能です。地盤アンカーが敷地の外へ出る場合は、隣地側の了解を得ます。場合によっては、地下工事終了後に地盤アンカーを撤去します。切梁がないので施工能率はよいです。

山留め設置後に必要な計測の項目

山留め・切梁・腹起しの変化
・山留め壁に関する測定事項は、〈山留め壁に作用する土圧〉、〈山留め壁に作用する水圧〉、〈山留め壁の曲げひずみ〉、〈山留め壁の変形〉です。
・切梁・腹起しに関する測定事項は、〈切梁に作用する軸力と変形〉、〈腹起しのたわみ・ねじれ、接合部の緩み・局部破壊〉、〈切梁の温度変化〉です。

周辺状況の変化
・周辺地盤に関する測定事項は、〈背面地盤の変形〉です。
・周辺構造物に関する測定事項は、〈構造物の沈下・傾斜・移動〉です。

排水・漏水の変化
・地下水位に関する測定事項は、〈排水量と地下水位の変動〉です。
・漏水に関する測定事項は、〈漏水箇所の点検〉です。

山留め用材料

・山留め用材料はJASSの規定によります。ただし、欠陥のあるものは使用しません。
・山留め用材料の許容応力度は以下の通りです。
形鋼材および木材:長期許容応力度と短期許容応力度の平均値以下の値
鉄筋およびコンクリート:短期許容応力度
・損傷や材質の変化が著しいものは使用しません。

山留めの設計

・支柱、切梁の平面配置では、建物の柱や杭に当たらないように30〜40cmのクリアランスを取り、支柱の水平間隔は通常5〜7mとします。
・切梁、腹起しの鉛直間隔は通常3〜5mとします。
・法付けオープンカット工法の場合、勾配と高さは労働安全衛生規則に適合するように決定します。

山留め壁にかかる土圧

山留めの設計に際しては、壁の背面に作用する側圧は深さに比例して増大するものとします。

 

山留めの施工

法付オープンカット工法

法面の勾配、高さ、犬走りは、土質、地下水、周囲の状況、工事排水を考慮して決定します。
法面から地下水が湧出するおそれのある場合は、ウェルポイント工法、深井戸工法などの排水工法により地下水面を低下させた後、掘削を行います。
法面を長期間存置する場合は、法面や法肩を保護します。
法の存置期間中は計測、見回りなどの管理を行い、異常があった場合は、速やかに処置します。

親杭横矢板工法

親杭は、定規を用いて通りよく建て込み、鉛直に設置します。
親杭を埋込工法で設置する場合、強度のある充填材で杭の回りを隙間なく充填します。
横矢板は、掘削後速やかに設置します。横矢板の裏側には裏込め材を十分充填します。また、存置期間中も矢板裏に隙間ができないように注意します。
横矢板は、親杭から外れないよう十分なかかり長さをとってはめ込みます。
横矢板は、設置するごとにキャンバでその位置を保持し、木ずりで上下の横矢板相互を緊結します。
親杭の引抜きに際しては、埋戻しを十分に行います。また、近隣に悪影響を与えるおそれのある場合は、埋殺しとします。

鋼矢板(シートパイル)・鋼管矢板

矢板は、定規を用いて通りよく建て込み、鉛直に設置します。
背面の土砂が湧水で流出するおそれのある場合は、かみ合せ部分が外れないよう注意します。
矢板の引抜きおよび埋殺しについては、親杭横矢板工法と同じです。

場所打ちRC地中壁

・コンクリート、鉄筋および鋼材などの材料はJASSの規定によります。主筋は異形鉄筋を、安定液材料は地盤条件に適合したものを用います。
・施工機械は現場条件に適したものを用います。
・十分な性能と容量を備えた安定液製造装置を使用します。
・施工にあたっては、掘削位置を正確に設定し、これを基準にガイドウォールを設置します。
ガイドウォールは地盤の状況、地下水位の高低、作用荷重を考慮して、十分な強度と剛性をもたせます。
作業中に掘削機が傾いたり、ガイドウォールが損傷したりしないように、十分な強度の作業床を設けます。
電力設備、排水設備は、十分な容量を確保しておきます。
・掘削は、所定の位置に所定の深さまで確実に行います。
孔壁の崩壊を防ぐために、必要に応じて安定液を用います。
壁または柱相互の接続部に食い違いができないようにします。
掘削終了後は、掘削深度を確認して、孔底のスライムを除去します。
・安定液は、崩壊防止、逸泥防止などを考慮して適切に調合します。調合したあとも安定液の性能を管理し、劣化したものは使用しません。
・鉄筋かごは寸法正しく、建込み時に変形しないように組み立てます。
建込みのときに付着した泥土を除去し、孔壁を損傷しないようにします。継手は、鉄筋かごと鋼材が一体となるように施工します。
・コンクリートの打込みは、トレミー管を用いて連続して行います。トレミー管の先端はコンクリートの中に2m以上入れます。また、トレミー管の接続部から漏水しないようにします。
・山留め壁の施工中に、必要な検査、試験、計測を行います。
根切り工事の進行に伴い、山留め壁の仕上り状態を確認し、施工不良部分には適切な処置を行います。

モルタル柱列山留め壁

・施工機械および装置、施工の準備、掘削は「場所打ちRC地中壁」に準じます。
・柱列施工におけるモルタル柱の施工に際しては、すでに施工されたモルタル柱に悪影響を及ぼさないように注意します。
モルタルの注入は、孔底から地上に向かって連続して行います。オーガーの引上げ速度が速過ぎるせいで、断面欠損のあるモルタル柱ができないよう注意します。
その他は「場所打ちRC地中壁」に準じます。

PC山留め壁

・現場で地中に孔を設け、これに柱状のPC部材を建て込み、隙間を周辺固定液で固め、これを山留め壁とする方法です。
・PC部材は、欠陥のないものを使用します。鉄筋、鋼材はJASSの規定によりますが、PC鋼材はJIS規格品を用います。
・その他は「場所打ちRC地中壁」、「モルタル柱列山留め壁」に準じます。なお、PC部材建込み後は、周辺固定液が硬化して安定するまで適切に保護します。

ソイルセメント柱列山留め壁

基本的に「場所打ちRC地中壁」、「モルタル柱列山留め壁」に準じます。ただし、次の点に注意します。
・セメントミルクの調合や注入量は、地盤と地下水の状態を考慮して決定します。
・セメントミルクを注入するときは、その地盤に最適な圧力、吐出量を維持しつつ孔内が均一なソイルセメントとなるように十分攪拌します。
・鋼材を挿入するときは、材料や孔壁に損傷を与えないように速やかに行います。

 

腹起し、切梁、その他

山留めは地下構造物の施工中、掘削側面を保護して、周囲の土砂の崩壊・流出を防止するためのものです。したがって、山留め架構は山留め壁の移動を最小限に抑えるものでなければなりません。

切梁の種類

主な山留め架構の形式には次のようなものがあります。
・井形切梁:切梁を格子状に組み、平面内の座屈を防止し、支柱を切梁の交点近くに設置して、上下方向の座屈を防ぎます。最も一般的なタイプで、経済的です。切梁が長くなると変形が大きくなる、不整形平面には不向き、掘削機械の活動が制約される等の欠点もあります。
・集中切梁:2つ以上の切梁を組み立て大型化し、切梁の間隔を大きくとる方法。大規模な架構に適し、掘削機械の効率はよいが、切梁にかかる力の釣り合いに注意を要します。加工費は高くつきます。
・斜め切梁:アイランド工法など。
・せり持ち切梁工法:周辺部に円弧状の弦材を設け、アーチ作用で力のバランスを図る方法。
・逆うち工法

材料

腹起し、切梁などの部材は組立ての前に、材質、断面欠損状況、材の曲がり、仕口の精度などを点検し、計画書に適合しているか確認します。
強度発現前の鉄筋コンクリート部材に応力を加えないよう注意します。

腹起し

腹起しは原則として連続して設置し、山留め壁に加わる側圧を切梁、地盤アンカーに伝えるように、以下に留意して施工します。
・側圧が腹起しに十分伝達されるように、モルタルやくさびを用いて、山留め壁と腹起しのあいだに隙間ができないようにします。
・腹起しは、自重および積載荷重に耐えるようにブラケットで支えます。
地盤アンカーを使用するときは、その垂直分力も考慮します。
斜め切梁を用いた場合には、適当なずり上り止めを設けます。
・腹起しと切梁(または地盤アンカー)の仕口は、めり込みや局部座屈がおこらないように確実に密着させます。
・腹起しの継手は、曲げ応力の小さい位置に設けます。

切梁

・切梁は、腹起しを通じて伝わる側圧を確実に支持できるようにします。
・切梁の継手は応力を十分伝達できる構造にします。また、はずれ、座屈を生じないよう確実に緊結します。
・切梁の交差部や支柱取合い部は、切梁構面内外に座屈が生じないよう接合します。

支柱

支柱は、切梁自重、切梁上の積載荷重、切梁軸力の垂直分力の合計荷重に対して、十分な強度と支持力をもつよう計画し、施工します。
支柱には引抜き力が働く場合もあるので、これに対しても十分安全であるように施工します。
・安全性が確かである場合を除いて、支柱は切梁交差部ごとに設置します。
・山留めの支柱と構台支柱を一つの支柱で兼用せざるをえない場合は、切梁から伝達される荷重に構台自重とその上の積載荷重を合わせた荷重に対して、十分安全であるように計画します。また、支柱に大きな水平力が加わらないように十分なブレースを設置し、安全に施工します。

地盤アンカー

地盤アンカーの施工計画は、作業空間の確保、給水・排水、用材の供給、排泥処理などを考慮して立案し、実施します。
・注入材は一般にセメントミルクかモルタルを用います。
セメントは普通ボルトランドセメントか早強ボルトランドセメントを用います。他はJASSの規定によります。
・引張材はJIS規格品かそれと同等以上のPC鋼線、PC鋼より線、PC鋼棒とします。
・スぺ−サー、シースその他の材料は、工法に適合するものを用います。
・施工機械および装置は、地盤条件、施工条件に適合したものを組み合わせて使用します。
定着装置は作業空間の大小や取り外し時のことを考慮して、ふさわしいものを選びます。
・施工は、まず計画書に従い、所定の位置・寸法の削孔を行います。特に長さについては設計長に適度な余長を加えたものとします。続いて、採用した工法の手順に従って孔内の洗浄、引張材の挿入、セメントミルクの注入などを円滑に行います。
・緊張および定着は、注入材の所定の強度を確認した後、アンカ一に対して段階的に緊張力を導入します。
・定着されたアンカー体に対して、導入された緊張力や壁の変形などに関する点検を行います。
・定着部の解体は、採用した工法に応じたやり方で行います。また、解体時に緊張力を急激に解放しないようにします。

切梁、腹起しの設置等

切梁、腹起しは計画書に従って、各段階ごとに所定の深さまで掘削し、速やかに設置します。
・通りよく設置し、特に接合部は緩みや強度不足がないようにします。
・切梁、腹起し、山留め壁の周辺には、計画以上の荷重を積載しないようにします。
・切梁にジャッキングを行う場合は、山留め壁、腹起し、切梁に及ぼす影響を検討し、十分に管理して実施します。
・切梁、腹起しの盛替え・撤去は計画書に従い、山留めや構造体に支障がないように、十分安全に行います。
・埋戻しの際は、地盤沈下を生じたり、埋設物に悪影響を与えたりしないように、良質の材料を用いて適切な工法で十分締固めを行います。
・支柱の引抜きは、構造体に支障を及ぼさないようにします。支柱を引き抜くことが構造体に好ましくない場合や困難な場合は、構造体に支障とならない位置で支柱を切断します。

 

排水

地下水位下の掘削を行う場合は、施工の難易や周辺への影響を考慮して、適切な排水または止水工法を選定します。

排水に当たっての留意点

・工事の支障となる湧水、雨水、たまり水、流入水などを、能率よく排除し、遮水します。
・排水のせいで、土砂が根切り内に流入したり、水みちが発生したり、周辺施設が沈下したりしない方法をとります。
・排水打切りのときは、構造体が地下水位の上昇によって浮き上がらないように注意します。
・直接基礎の場合には、地下水によって床付け面が荒らされないように注意します。

排水工法

・重力揚水法
釜場:根切り底に釜場という集水ピットを設け、そこに集水してポンプで排水します。
深井戸:透水係数の大きい砂、砂利層まで井戸を掘り、地下水をポンプアップして、周辺の水位を下げます。
・真空揚水法
ウェルポイント工法:6〜7mのライザーパイプを1〜2m間隔に打ち込み、その下端のウェルポイントから吸水して、ヘッダーパイプから排水します。一段のウェルポイントで5〜6m水位が下がります。

ポンプの種類

・往復ポンプ方式
ダイヤフラムポンプ:手動ポンプで簡易な排水を行います。低揚程の濁水用ポンプです。
ピストンポンプ:ピストンの往復によって揚水を行います。
・回転ポンプ方式
セントリヒューガルポンプ:10m以下の低揚程の揚水に用います。
タービンポンプ:10m以上の高揚程に用います。渦巻きポンプの一種です。
ボアホールポンプ:深井戸の揚水に用いる。たて型ポンプの一種。
・水中ポンプ:原動機を水中に設けたボアホールポンプの一種。比較的高揚程に用います。

ウェルポイント工法の採用にあたっての注意点

・地盤が圧密され、土のせん断抵抗が増します。
・水圧、土圧を減じます。また、支保工、山留め壁の応力が減じます。
・粘土質地盤では有効に使えません。そのため、主に砂質地盤などで採用されています。
・隣地の地盤が沈下を起こすことがあります。

 

用語

・基礎
基礎スラブと杭を総称したもの。上部構造に対するものとして、基礎構造ということもあります。
・基礎スラブ
上部構造の応力を地盤または地業に伝えるために設けられた構造部分。
フーチング基礎ではそのフーチング部分を、べた基礎ではスラブ部分をさします。
・地業
基礎スラブを支えるため、それより下に敷砂利・杭などを設けた部分。
・直接基礎
基礎スラブからの荷重を直接地盤に伝える形式の基礎。
・フーチング基礎
フーチングにより上部構造からの荷重を地盤に伝える基礎。フーチング基礎はその支持する状態により3つにわけます。
・独立(フーチング)基礎
単一の柱あるいはそれ以上の柱からの荷重を1つのフーチングによって支持する基礎。
・複合(フーチング)基礎
2本あるいはそれ以上の柱から荷重を1つのフーチングによって支持する基礎。
・連続(フーチング)基礎・布基礎
壁または一連の柱からの荷重を帯状のフーチングによって支持する基礎。
・べた基礎
上部構造の広範囲な面積内の荷重を単一の基礎スラブまたは格子梁と基礎スラブで地盤に伝える基礎。
・杭
基礎スラブからの荷重を地盤に伝えるため、基礎スラブ下の地盤中に設ける柱状の構造部材。
・杭基礎
直接基礎に対するもので、基礎スラブからの荷重を、杭を介して地盤に伝える形式の基礎。
・既製杭
工場などであらかじめ製作された杭。
・既製コンクリート杭
既製鉄筋コンクリート杭、既製プレストレストコンクリート杭および既製鋼管コンクリート杭。
・鋼杭
鋼管杭およびH形鋼杭。
・打込み杭
既製の杭体を、ほぼその全長にわたって地盤中に打ち込みまたは押し込むことによって設けられる杭。
・埋込み杭
既製の杭体を、ほぼその全長にわたって地盤中に埋め込むことによって設けられる杭。
・場所打ちコンクリート杭
あらかじめ地盤中に削孔された孔内に、鉄筋かごを挿入したのち、コンクリートを打設することによって、現場において造成される杭。
・摩擦杭
主として周面摩擦で支持させる杭。
・支持杭
軟弱な地層を貫いて硬い層まで到達し、主としてその先端抵抗で支持させる杭。
・継杭
2本以上の杭体をつないだ杭。
・ケーソン
地盤を掘削しながら中空大型の筒を支持層まで沈めてつくった地業。構造物の地下部分をあらかじめ地上で構築し、これを支持層まで沈めた場合には、その地下部分をいいます。
・極限支持力
構造物を支持しうる最大の鉛直方向抵抗力。基礎形式に応じて、[直接]基礎の極限[鉛直]支持力、杭の極限[鉛直]支持力といいます。
・基準支持力
極限[鉛直]支持力に達するときの沈下量が大き過ぎる場合に、極限[鉛直]支持力に代わって基準となる支持力。杭の場合には、杭径の10%の沈下量を生じるときの支持力。
・許容支持力
極限[鉛直]支持力または基準支持力を安全率で除した値で、かつ部材が許容される応力度以内にあるときの鉛直力。基礎形式に応じて、[直接]基礎の許容[鉛直]支持力、杭の許容[鉛直]支持力といいます。
・許容耐力
許容[鉛直]支持力[度]内で沈下または不同沈下が許容限度内に納まるような力[応力]。基礎形式に応じて、[直接]基礎の許容[鉛直]耐力、杭の許容[鉛直]耐力といいます。
・負の摩擦力
周囲の地盤が沈下することにより、杭周面に下向きに作用する摩擦力。
・接地圧
基礎スラブまたは杭先端と地盤の間に作用する圧力。
・側圧
水平方向に作用する土圧と水圧の和。
・側圧係数
側圧をその点の全上載圧で除した値。
・地盤改良
地盤の強度の増大ならびに沈下の抑制などに必要な土の性質の改善を目的とし、土に締め固め・脱水・固結・置換などの処置を施すこと。
・サウンディング
ロッドにつけた抵杭体を地盤中に挿入し、貫入・回転・引抜きなどに対する抵抗から地盤の性状を調査する方法。
・現位置試験
現状の地盤において行う試験。現状の地盤から試料を採取して行う室内試験に対していう。
・根切り
構造物の基礎あるいは地下部分を構築するために行う地盤の掘削。
・液状化
水で飽和した砂が、振動・衝撃などによる間隙水圧の上昇のためにせん断抵抗を失う現象。
・ボイリング
砂中に上向きに流れる水流の圧力のために、砂粒がかきまわされ、わき上がる現象。
・ヒービング
地面、とくに根切り底面がふくれ上がる現象。
・スライム
地盤を削孔する際の孔壁の切りくず、またはそれが孔底にたまったもの。
・床付け
砂・砂利・捨てコンクリートなどの地業工事ができる状態に所定の深さに地盤を掘りそろえること。
・山留め
根切り時における周辺地盤の崩壊、沈下障害を防止すること、またそのために設けられる構造物。
・山留め壁
山留めのために根切り周面に設け、側圧(土圧・水圧)を直接受ける部材。
・腹起し
山留め壁にかかる側圧を受けて切梁または地盤アンカーに伝えるための水平部材。
・切梁
腹起しまたは直接に山留め壁から伝わる力を圧縮力で支えるように根切り面内に設けられる部材。
・地盤アンカー
先端部を良質地盤に定着させ、これを反力として山留め壁などの構造物を支える引張り材。
・支柱
切梁を支え、同時にその面外座屈を防止するために用いられる部材。
・パイピング
水位差のある砂地盤中にパイプ状の水みちができて、砂混りの水が噴出する現象。
・法面
切取り・盛土などの斜面。
・法肩
法面の上端部。
・法尻
法面の下端部。
・杭間ざらい
根切りの際の床付け段階で、事前に施工した杭の間の土を掘りそろえること。
・なじみ起し
転圧などによって締め固める場合、表面から30cm程度の地盤をほぐすこと。
・犬走り
法付けオープンカット工法などで、法面の中間に設けられた水平な部分
・親杭
適当な間隔で地中に打ち込まれる杭で横矢板に作用する土圧を直接支持するか、または腹起しに伝えるための鋼製などの部材。
・横矢板
根切りをしながら親杭の間に水平にはめ込んで山留め壁を形成するための木製などの部材。
・矢板
地上より建て込んで山留め壁を形成するための部材。鋼矢板(シートパイル)など。
・法付けオープンカット工法
山留め壁などを用いないで、周囲に法面を形成しながら掘削する工法。
・フィルタ層
水だけを透過させ、土粒子をさえぎるために粒度調整した砂・礫などで設けられる層。
・埋殺し
山留め壁や支柱などに用いた仮設材を回収しないで、地盤中に残しておくこと。
・安定液
掘削孔壁面の安定と液の循環により掘削土の孔外への排出に用いるベントナイトなどの懸濁液。泥水ともいいます。
・ガイドウォール
場所打ち鉄筋コンクリート山留め壁の掘削に先立ち、その定規となり、また表土の崩壊を防止するため、溝の両側に設けられる仮説の壁。
・トレミー管
水中コンクリートの打ち込みに用いられる上端に漏斗状の受け口をもつ水密性のある管。
・盛替え
工事の進捗に伴い、すでに設けられている支柱・切梁などの加重を別の支柱・切梁などを入れて受けかえ、はじめのものを取り外すこと。
・ソイルセメント
土砂とセメントミルクを混合攪拌したもの。
・ジャッキング
山留め壁の応力・変形を減少させるため、切梁を設置した後、ジャッキを用いて、切梁にあらかじめ圧縮力を導入すること。

 
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