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仮設工事

仮設工事とは、仮に設ける間接的工事のことです。
仮設工事は、測量工事、仮設構造物、仮設機械、仮設電気、その他の設備に関する工事、および災害防止対策や公害対策に関連する工事等の総称です。建築の他の全工事に関連します。

目次

一般事項

・仮設工事の計画と施工は、仮設工事を実施する人の責任で行います。
・JASS規定では、工事前に仮設工事計画書を作成し、係員に提出します。
・JASS規定よりも、建築基準法、建設省告示、労働安全衛生法、消防法等の法令を優先します。
それ以外の基準については、JASS規定を優先させます。
・建築工事共通仕様書によると、仮設材料には、古材を使用できます。
・建築物の一部を工事に使用する場合や、開口を設ける場合等には、補強、復旧などを、含めた計画書を作成し、係員の承認を受けます。

 

敷地測量

境界測量

・工事を行う敷地と隣地、道路の境界を明確にする測量のこと。
・工事の前に行います。
・必要なら、係員、隣地所有者、監督官庁の職員が立会います。

現状測量

・敷地の高低差、地物、形状等に関する測量のこと。
・敷地の形状が複雑な場合や、申請に必要な場合に行い、現状測量図を作成します。

敷地周辺の状況確認

・周辺道路との関係を確認します。
・隣地の状況、隣家の位置、構造を調査します。
・敷地内や道路下のライフラインの位置を確認します。
・埋設物、支障物がないか調査し、対策を立てます。

 

ベンチマーク、縄張り、遣り方、墨出し

・工事着工前に、基準鋼製巻尺を定め、承認を受けます。
・正確に測ることができる機器を用います。
・定期的に機器を点検します。

ベンチマーク

・測量の基準点。
・固定された箇所に、係員立会いの下で設定します。
・適当な箇所がない場合、新たに杭を打ち込み堅固に設置します。

なわ張り

・建築物の建設位置を示すためのもの。
・係員の立会いの下で行います。

遣り方

・建築物の位置および高さの基準を明確に示すものです。
・係員の検査を受けます。

墨出し

・通り芯や各階基準レベルになる基準墨は、ベンチマークから引出します。
・係員の検査を受けます。
・誤差が最小となるように行います。

 

仮設材料

・各種の荷重や多様な機能も要求されます。
・関係法規、JIS規格品を理解して、使用者が適法、安全に適用できるように、具体的、定量的な品質管理基準を作成します。
・品質管理が容易で、適正な性能をもつ材料を使用します。
・性能と安全性を確認した仮設古材を使用することができます。

 

仮囲い

・万能板を用いた囲い。
・工事期間中は、工事現場の周囲に、仮囲いを設けます。

仮囲い材料

・万能板、木柵、鉄柵。

構造

・強風、突風で倒れないよう安全にします。
・出入口は引き戸か内開きにします。
・周囲の美観を損なわないようにします。

法律(建築基準法施行令)

・工事現場の周囲に、高さ1.8m以上の仮囲いを設けます。

※建材を探す →  「仮設工事」仮設関連資材
 

係員仮設事務所

工事現場の事務所は、敷地の出入口に近く、見通しがよい場所につくります。
無理なら許可を取って道路上に、オーバーブリッジを設けます。

仮設事務所の構造

・外壁、床、壁の構造と仕上げは、風雨などの外力に耐えられるようにします。

内部仕上げ

□床
床板張りかモルタル塗下地の上に、床用シート類または床用タイル類張り。
□内壁
合板、鉄板、建築用ボード張り。
□天井
合板、建築用ボード、吸音板類張り。

係員事務所の設備及び備品

・電灯・給排水の設備が必要です。
・事務室には机、イス、書棚、黒板、図板、ロッカー、掛時計、暖房器、消火器を設備します。
・関係者の現場事務所や、作業員の休憩所および便所を設けます。
・作業員宿舎を設置します。

※建材を探す →  「仮設工事」仮設建築物
 

材料置場、作業小屋

下小屋は使用目的に合う構造にします。

セメント置場

・石灰等の保管場所の湿気を防ぎます。
・床は板張りの上に鉄板張り。
・周囲は、目板、羽目板張りの上に、腰300mmの高さに鉄板張り。
・屋根は鉄板ぶき。

砂、砂利の置き場

・混同や泥土が混入・散失しないように、適切な処理を行います。
・周囲に排水溝を設け、雨水が床下に入るのを防ぎます。
・床は地盤より300mm以上高くします。
・空気の流通を阻止するために、必要な出入口のほかは開口部を設けません。

 

危険物貯蔵所 (JASS規定による)

塗料・油類といった引火性材料の貯蔵所

・建物や他の材料置場から離れた位置に作ります。
・屋根・内外壁および天井を防火構造とするか、不燃材料で覆います。
・各扉は、完全に施錠できるようにします。
・消火器を設備します。
・危険物の貯蔵所であることを明確に表示します。
・関係法規に従って作ります。

ボンベ置場

・直射日光を遮り、通風・換気が十分な置場にします。
・ボンベが転倒しないようにします。簡単に持ち出されないようにします。

放射性物質の貯蔵施設

・地崩れ、浸水のない場所に設けます。
・建物は耐火構造とし、開口部は甲種防火戸とします。
・放射線が絶対に漏れないよう、専用の壁や構造にします。
・扉や蓋には鍵をつけて、むやみに人が立ち入らないようにします。
・放射性物質の貯蔵施設であることを明確に表示します。

 

仮設通路 (JASS規定による)

・現場の必要な場所に作業用通路を設けます。
・通行人の安全のため、必要な場所には一般通行用通路や防護構台を設けます。

作業用通路の分類

□建物内部の通路
 切ばり上通路:通行、資材の運搬、支保工材の確認など
 鉄骨上通路:屋根材、躯体材などの運搬、足場間連絡など
 開口上通路:工事用仮設床開口、吹抜部など、開口上部など
 床上通路:躯体スラブ上
□建物外部の通路
 山留め壁外周通路
 開口上通路
 床上通路:躯体スラブ上、敷地内路面、仮設物床上

 

作業構台

建設工事に使用する、仮設の支柱および作業床などで構成された、材料若しくは仮設機材、建設機械などの運搬を目的とする高さ2m以上の設備。

乗り入れ構台(JASS規定による)

・乗り入れ構台の設計には、固定荷重と車両の積載荷重、衝撃荷重、水平荷重を考慮します。
衝撃荷重、水平荷重は、積載荷重の20〜25%が作用するものとします。
・車両などの乗り入れに適した位置に設け、積載荷重に耐えうる構造にします。
・乗り入れ構台の幅は、乗り入れる車両の大きさ、行われる作業の状況により決めます。
一般に4m程度は必要です。構台上で作業を行う時、脇を車両が通れるようにします。
・周辺には、高さ75cm以上の手すりをつけます。

荷受け構台

・資機材の出し入れに適した位置に設けます。積載荷重に十分耐えうる構造にします。
・設計する時は、自重、積載荷重、作業荷重などの鉛直荷重と風荷重、機械の水平動荷重といった水平荷重を考慮します。
・作業荷重は、自重と積載荷重の合計10%とします。 足場を利用する場合、同じ建地に複数の構台を取り付けるので、同時に2〜3の構台に積載される状態を想定します。

 

仮設物撤去

・工事期間中でも、支障がある場合には速やかに撤去します。
・工事完了後、一切の工事用仮設物を撤去します。
・撤去跡および付近の地ならしを行い、掃除をします。

 

足場

・高所部分の工事や高所への材料の運搬、労務者の通路になる仮設物。
・建築物の規模や作業内容に合わせて安全に設置します。
・作業主任には、作業主任者技能講習を修了した者が就きます。

足場の種類

・材料による分類:木製、鋼製、軽金属製、その他。
□構造による分類:一側足場、本足場。
一側足場には、丸太足場、抱き足場、布板足場、ブラケットがあります。
本足場には, 丸太足場・単管・わく組足場・張出し足場があります。
□用途による分類:たな足場、つりだな足場、脚立足場、うま足場、移動足場、ローリングタワー。

足場の構造(労働安全衛生規則を参照)

・建物の規模、足場にかかる荷重の状態や使用期間、安全性を考慮して設計します。
・足場材料にはしっかりとした強度のものを使います。
・仮設中の風雨や取扱いの粗暴などで、強度の低下や変形が起こらない構造にします。

足場の組立て・解体・管理

・墜落、倒壊といった事故を防ぐため、安全に注意して行います。
・全ての足場は、安全かつ常に使用できる状態にします。

労働安全衛生規則

・組立て、解体を行う時期、範囲、順序を作業者に知らせます。
・部外者の立入りを禁止します。
・悪天時(強風、大雨、大雪)は、作業を中止します。
・足場材の緊結、取外し、受渡しの作業を行う場合、幅20cm以上の足場板を設け、命綱を使用します。
・毎週一回定期的に点検を行います。悪天候・長期間作業を中断した場合は、点検をします。
・強風時は、材料の飛散や足場の傾斜・倒壊を防ぐために、壁つなぎ・控え柱を点検・補強し、材料・足場板・シートを撤去します。

※建材を探す →  「仮設工事」足場
 

仮設機械

工事用機械器具

・工事計画に従い使用計画書を作成します。
・「クレーン等安全規則」に従い、設置、点検、整備を行います。

法規制

・関連する法律には、騒音規制法と振動規制法があるが、これらは内容に相違点があります。

 

仮設設備

・工事用の電力、電灯、通信、給水、排水、ガスといった諸設備に関する計画書を作成します。
必要に応じて係員と協議し、これらの設備を設けます。
・計画書の作成は、各設備工事の専門家が行います。
・計画にあたって、必要な電力の容量、給水量、排水量の設定に注意します。

 

工事用電気設備

・照明や機械に用いる電力は、必要な電力を算定し電力会社より受電します。
・50kW以上なら高圧受電、50kW未満なら低圧受電となります。
・高圧受電は、資格免許者が管理します(電気工作物規定)。
・高圧受電は料金が安いため、高圧受電し、変電所で低圧にして使うことが多いです。
・変電所については、変圧器、配電盤、計器類を一つの箱にまとめた既製のキュービクルを現場内に据え付け、仮設変電所とすることが多いです。

仮設変電所を設ける場合の規定

・屋根、壁、床は漏水のないようにします。
・床、璧、天井はすべて鉄板張り、窓ガラスは網入りにします。
・換気窓をつけます。
・機器類に身体が触れないように、通路スペースをとります。
・出入口には鍵を付け、係員以外の出入を禁止します。
・非常時に電路の遮断ができるよう、現場事務所の近くに設置します。
・オーバー・ブリッジに変電所を設けるときは、荷重に耐える構造にします。

 

工事用給排水設備

・私設水道、わき水、井戸水、河川の水を使用する場合、水質・水量を調査し、使用計画をたてます。
・通常は都市水道を利用します。水道使用を申し込み、現場でバルブと料金メーターを取り付けます。場内配管は工事施工者が行います。
・使用水量は,コンクリート用水の約10倍になります。
・仮設排水設備は、工事能率だけでなく安全衛生にも影響します。よって、周辺地域を調査し、事前計画をたてます。

 

災害防止対策

工事に伴う災害

・工事者の災害である労働災害。
・工事現場での災害。
・周辺の家屋や住民に与える災害、公害。
・一般通行人に与える第三者災害。
災害防止について、管理者は法律(労働安全衛生規則、消防法)に従い、対策をたてます。

墜落による危険の防止

墜落する危険がある箇所、通路などの端、開口部には、墜落防護工を設けます。
墜落防護工の設置が困難な場合、安全ネットや安全帯を使用します。

落下物による危険の防止

・作業者に落下物の危険がある場合、防護鉄綱、垂直ネットフレーム、防護シート、防護棚を設置して、予防措置をとります。
・労働者の保護帽の着用が義務づけられています(安全衛生規則)。

 

防護鉄網

外部垂直養生金網

・外部養生網には、綱目の寸法13mmで20#の亜鉛めっき鉄線(0.9mmφ)の亀甲綱以上の強さをもつ金綱を使用します。
・上下の端はそれぞれ布材に約30cm間隔で緊結します。
・中間部は足場の各層に緊結します。
・重ね代は約15cmとし、重ねの部分は約30cm間隔に千鳥に止めます。
・側端部の金網は建地に約30cm間隔で緊結します。
・金網の足場への取付け・金網の重ねの緊結は20#(0.9mmφ)以上のなまし亜鉛めっき鉄線を用います。

水平養生金網

・材料、重ねしろ、とめ方は、外部垂直養生金網と同じです。
・設置高さは一層おき程度とします。
使用金網が、18#網目16mmでは、設置高さは15mでもよいです。
・金網の受け材は、1.8〜2.5m程度で縦断架け渡し、はり、柱などの鉄骨よりつります。
・つり材は十分な強度のものを用い、なまし鉄線は用いません。
・金網は、受け材上に多少たるむ程度に敷き,両端は上記に習い固定します。

 

垂直ネットフレーム

・足場の外側面に取付ける網わく付き金網のこと。枠組足場と組合わせて利用すると便利ですが、弾力性に乏しく、落下物に対する防護性能は十分ではありません。
・使用時は、金網がわくに溶接されているか確認します。
・飛散物があるときは、局部的にシートを併用します。
・足場から脱落しないよう固定し、隙間なく取付けます。
・取付け時や解体時に、落下させないように注意します。

 

防護シート

・必ずJIS規格品を使用します。
・風により足場を倒壊させる原因となるので、強風時には取りはずせるか、たためるように工夫します。
・防炎性はあるが、溶接火玉が掛らないようにします。
・破損しているものは使用禁止です。

 

防護だな

・1段目を地上より5m以下、2段目以上は下の段より10m以下ごとに設置します。
・各部材との結合や、足場への取付けは、脱落しないように金具などで堅固にします。
・たな板は、隙間なく張ります。コンクリートはつりくずが落下しないよう注意します。可能なら、金網、シートの類を敷きます。

 

作業の安全衛生

・快適な作業環境にするために、作業場は整理、整頓し、採光、照明、および空気清浄を行います。
・特に、照明は、作業場の照度の保持が規定されています(安全衛生規則)。
・作業場での火災防止についても、消火設備の設置、喫煙場所の配備、避難通路、非常口の適正設置、通報設備等、使用要領を徹底します。

 

解体・撤去時の安全対策

・仮設構造物が不安定にならない作業手順で行います。
・倒壊、落下物、墜落を防止するための対策を行います。

 

養生

・建築物、隣接建物、周辺道路で、汚損、汚染の恐れのある場所には養生を施します。

 

用語

・ベンチマーク
仮設工事における、建築物の位置、距離、長さ、高さの基準点。
・なわ張り
建築工事前に、建物の外郭線の位置に縄を張ること等により、配置図に示された建物位置を現地に示すこと。
・遣り方
柱や壁の中心線、通り芯、基準の高さ等を、工事現場に表示するための仮設物。
・足場
高い場所や作業条件の悪い箇所等に、作業床、作業通路を確保するために、組み立てる仮設構築物。
・墨出し
工事に必要な寸法の基準となる位置や高さ等を、所定の場所に表示する作業。
・仮囲い
工事場等を囲う、仮設の構築物。
・構台
工事現場内への重機、運搬車の乗り入れ等を誘導するための乗り入れ構台と、資材、処分物、廃棄物等を搬出入するために、工事中の建物内に設ける荷受構台があります。

 
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